神様の言う通り

本当に素晴らしい作品には神様が宿るらしい。

けれど僕たちは、往々にして作品でなく作り手を神様と崇め、作り手の手に、足に、頭に、過去に、未来に、想像力に神様を見出そうとする。

作られた作品に作った人を当てはめて、足りないパズルのピースを埋めるように、「ああでもない」「こうでもない」と言いながら自分の理想の形に収めようとして、収まらないと怒り、中途半端に舐め回したオモチャをゴミ箱に捨てる。

 

神様は何も教えてくれない。神様は語りかけてはくれない。神様は人間を作ったけれど、神様になった人間は一人もいない。

皮でできた本の背表紙、湿気を吸って冷たくごわごわとした"それ"を撫でる手を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏の終わりが近付いていた。