水玉

窓に流れていく景色が、楽しかった今日の終わりを告げている。

ガラスに映った"じぶんではないなにか"に向けて、問うてみる。

 

おまえは誰だ?

 

"なにか"は妖しく笑った。

自分を窓の外へと押しやろうとしている人たちは電車の中吊り広告を見るために鳩のように胸を反らせている。あとはお気まりの音楽か読書か携帯か。

 

自分だけが"なにか"を見ていた。

 

橋にさしかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"なにか"は水で滲んで見えた。